原価管理システムで実際原価を把握する

原価管理システムは、材料費・労務費・外注費・経費を製品や案件の単位で集計し、見積と実績の差を把握するための仕組みです。精度を上げるほど現場の記録負担が増えるため、「どの判断に使う数字か」を先に決めてから集計単位を設計します。

このページで分かること

  • 標準原価と実際原価のどちらが必要かの判断
  • 費目ごとの集計単位と、取得できるデータ
  • 実績工数を原価へつなぐときの設計
  • 締め処理・差異分析で決めること

何の判断に使う数字かを先に決める

目的必要な精度集計単位
見積の妥当性を検証したい案件・製品ごとの実績が分かればよい案件/製品
赤字案件を早く見つけたい進行中に途中経過が見えること案件(月次または随時)
工程改善の対象を決めたい工程別の工数と不良の実績工程/設備
財務原価を出したい会計と整合すること会計期間・製品群

目的が複数ある場合でも、最初から全部を満たそうとしないでください。集計単位が細かいほど、現場の入力と月次の締め作業が重くなります。

標準原価と実際原価

  • 標準原価:見積・計画の基準。標準時間と標準単価が整備されていることが前提
  • 実際原価:実績から集計。実績工数の記録が前提になる
  • 両方を持つ場合は差異分析(数量差異・価格差異・能率差異)の定義を決める
  • 標準が未整備なら、まず実際原価を集め、そこから標準を作る順序が現実的

費目ごとの集計方法

費目取得元設計の論点
材料費出庫実績、購買実績評価方法(移動平均・総平均)、歩留・端材の扱い
労務費作業実績(工程管理)賃率の持ち方(個人別/職種別/工程別)、間接作業の扱い
外注費外注発注・検収支給材の扱い、不良分の負担
設備費・経費稼働実績、配賦配賦基準(時間・数量・金額)を誰がいつ決めるか

実績工数を原価につなぐ

労務費の精度は、工程管理で集めている作業実績の粒度に依存します。作業実績を取っていない状態で原価管理だけを導入しても、労務費は配賦の推定値にしかなりません。

  • 実績の粒度(案件単位/工程単位/作業単位)を原価の集計単位と合わせる
  • 段取り時間、手待ち、手直しをどの費目に入れるかを決める
  • 複数案件を並行作業する場合の按分ルールを決める
  • 実績の訂正が原価へ反映される範囲(締め前後)を決める

締め処理と差異分析

  1. 締めのタイミングと、締め後の訂正の扱いを決める
  2. 未完了案件の仕掛計上の方法を決める
  3. 差異が出たときに、誰が原因を確認するかを決める
  4. 会計側の数字との突合方法と、許容できるずれの範囲を決める

よくある質問

原価計算は会計システムでやるべきですか。
財務目的の原価は会計側で完結させ、管理目的(案件別・工程別の実績把握)を現場システム側で持つ切り分けが一般的です。両方で別々に計算すると数字が合わなくなるため、どちらを正とし、どこで突き合わせるかを決めてください。
実績工数を正確に取るのが難しいです。
完全な正確さより、一貫した基準で継続して取れることが重要です。着手・完了の2点だけでも、案件間の比較には十分使えることがあります。粒度を上げるのは、その記録が実際に判断に使われていることを確認してからで構いません。
配賦基準はどう決めればよいですか。
厳密な理論より、社内で説明できる基準であることが優先されます。設備時間、直接工数、数量のどれを使うかを製品群ごとに決め、変更したときは過去分の再計算範囲もあわせて決めておきます。会計処理に関わる部分は、顧問税理士・会計士の確認を受けてください。

製造業向けのご相談

原価をどこまで把握したいかを整理する

原価の数字を何の判断に使いたいか、現在の実績記録の状況(工数、材料出庫、外注)を共有いただければ、実現できる集計単位、必要になる記録、段階的な進め方を整理してお返しします。

原価管理の範囲を相談する

初回の相談で契約を迫ることはありません。対象外と判断した場合はその理由をお伝えします。

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