設備保全・工場IoTで停止と保全の記録を集める

設備保全システムは、設備台帳、点検計画と実績、故障、停止理由、交換部品を管理する仕組みです。PLCやセンサーから稼働データを取得する場合は、通信方式、ネットワークの分離、データの欠損、時刻のずれ、設備停止時の運用まで含めて設計する必要があります。

このページで分かること

  • 設備台帳と保全業務でまず整えるもの
  • PLC・センサーからデータを取得できるかの判断材料
  • 欠損・通信断・時刻ずれへの対処
  • OEEや予知保全に進むための前提条件

設備台帳と保全業務

IoTでデータを取る前に、設備台帳と保全記録が整っていないと、集めたデータを解釈できません。まず「どの設備が、どの製造に使われ、どの部品を持ち、いつ何をしたか」を残せる状態を作ります。

  • 設備台帳(設備コード、型式、設置場所、導入時期、能力、保全区分)
  • 点検計画(周期、対象項目、担当、基準値)と点検実績
  • 故障・停止の記録(発生時刻、復旧時刻、現象、原因、処置、停止理由コード)
  • 交換部品・消耗品の在庫と交換履歴
  • 外部委託の保全(保守契約、点検報告書)

停止理由コードの設計が要点です。自由記述にすると集計できず、細かくしすぎると現場が選ばなくなります。まず10〜20程度に絞り、運用しながら見直すのが現実的です。

予防保全・事後保全・予知保全

方式内容前提
事後保全故障してから直す停止の影響が小さい設備。記録は残す
予防保全時間・稼働量基準で定期的に交換・点検稼働量またはカレンダーの記録が必要
状態基準保全実測値(温度、振動、電流など)が閾値を超えたら対応センサーと閾値の設定、誤検知時の運用が必要
予知保全劣化の傾向から故障前に対応十分な期間の正常・異常データと、評価方法が必要

予知保全から始めるのは現実的ではありません。多くの場合、まず停止理由と保全記録を数値で集め、どの設備・どの故障が事業に効いているかを特定するほうが先です。

PLC・センサーからのデータ取得

「設備からデータが取れるか」は、設備の年式と制御機器の構成で決まります。相談時には、次の情報があると判断が早くなります。

  • 制御機器のメーカーと型式(PLC、表示器、NCなど)
  • 通信ポートの有無と、既に使用されているか
  • 既存の保守契約で、外部機器の接続が制限されていないか
  • 取得したい項目(稼働/停止、サイクル数、良品数、アラーム、電流、温度)
  • 必要な取得周期(秒単位か、分単位か、イベント発生時のみか)
  • 設備の設置場所とネットワークの敷設状況
取得方式概要向いている場面
PLCの通信機能から取得制御機器の通信仕様に従って読み出す比較的新しい設備、型式が明確
ゲートウェイ経由産業用ゲートウェイで変換して送る複数機種が混在する工場
外付けセンサー電流、振動、光、接点などを後付けで測る通信機能が無い、または触れない設備
信号灯(積層灯)の検知稼働/停止/異常の3状態を取る最小構成で稼働率を把握したい場合
人による入力停止理由など、機械では取れない情報原因の記録は結局ここが必要になる

既存設備の制御ロジック(PLCプログラム)の改変は当社の対象外です。読み出しと、外付けによる計測の範囲で設計します。

欠損・通信断・時刻のずれ

  • 通信断の間もデータを保持し、復旧後に送る(ローカルバッファと再送)
  • 重複送信を許容し、受け側で一意キーにより重複排除する
  • 設備側と収集側の時刻同期をどう担保するか(時刻がずれると分析が破綻する)
  • 設備停止・保全中のデータをどう扱うか(稼働率の分母から除外するか)
  • データの保存期間と、粒度を落とした長期保存の方針

工場ネットワークとセキュリティ

  • 制御系ネットワークと情報系ネットワークの分離を前提に、方向を限定した通信経路を設計する
  • 収集はできる限り読み取り専用にし、設備への書き込みを行わない構成にする
  • 外部(クラウド)へ送る場合、送信するデータ項目を明示し、社内で合意する
  • 機器の管理者権限、パスワード、更新の責任範囲を決める
  • 保守ベンダーの遠隔接続が既にある場合、その経路との関係を整理する

OEE・可視化への接続

稼働データを取ると、次に可視化の要求が出ます。指標の定義を先に決めないと、部署ごとに違う数字が出て議論が止まります。

  • 稼働時間の定義(計画停止、段取り、チョコ停をどう扱うか)
  • 良品率の取得元(設備カウンタか、検査記録か)
  • 基準となる理論サイクルタイムの決め方
  • 誰が、どの単位(設備、ライン、工場)で、どの頻度で見るか
  • 数値が悪化したときに、誰が何をするか

予知保全AIを検討する条件

  • 故障の事例が、学習・評価に使える程度に記録されているか
  • 故障の前兆が、取得しているデータに現れうるか(物理的な根拠があるか)
  • 誤検知(正常なのに警報)と見逃しのどちらが業務上重いか
  • 警報が出たときに、誰が何をするかが決まっているか
  • まず閾値による監視で足りないか(AIの前に試す価値がある)

予知保全は「データを貯めてから」ではなく、「何を検知したいか」を先に決めて、そのために必要なデータを取るほうが成功しやすい領域です。

費用・現地調査について

  • 対象設備の台数と、機種のばらつき
  • ゲートウェイ・センサー等の機器費と、設置工事の要否
  • ネットワーク敷設の有無(無線が使えるか、有線工事が必要か)
  • 現地調査の回数(機種・配線の確認は現地でないと確定しないことが多い)
  • 可視化・分析の作り込み範囲

設備が絡む案件は、現地調査の前に金額を確定させられないことがあります。その場合は、調査を独立した工程として先に実施し、その結果をもとに本体を見積もる進め方を提案します。

よくある質問

古い設備でもデータを取れますか。
通信機能が無い設備でも、電流センサー、振動センサー、信号灯(積層灯)の検知などの外付け計測で、稼働・停止の把握は可能な場合があります。ただし取れる情報は限定されます。設備の型式と取りたい項目を共有いただければ、外付けで足りるか、他の方式が必要かを判断します。
PLCのプログラムを変更してもらえますか。
対象外です。当社は設備の制御ロジックの改変は行いません。読み出し、または外付け計測の範囲で設計し、制御に関わる変更が必要な場合は設備メーカーまたは制御ベンダーと連携する前提で進めます。
クラウドに設備データを送っても問題ありませんか。
社内の情報管理方針と顧客との契約条件によります。送信するデータ項目を具体的に列挙し、生産量や製品情報が推測できる項目が含まれるかを確認したうえで判断してください。社内に閉じた構成(オンプレミス収集)も選択肢になります。
何から始めるのが現実的ですか。
停止理由の記録と集計から始めるのが最も費用対効果が高いことが多くあります。人による入力でも、停止の原因と時間が数字になれば、対策の優先順位を決められます。設備収集は、対策対象が特定できてから対象設備を絞って追加する順序を勧めます。

製造業向けのご相談

設備・PLC・取得したいデータを共有して相談する

対象設備の型式、制御機器の構成、取得したいデータ項目と周期を共有いただければ、取得方式の候補、現地調査の要否、まず着手すべき範囲を整理してお返しします。設備の型式が分からない場合は、銘板の写真でも構いません。

設備・PLCの構成を共有して相談する

初回の相談で契約を迫ることはありません。対象外と判断した場合はその理由をお伝えします。

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