GMOの在宅勤務方針の補足に学ぶ——「働き方ルール」は例外設計とセットで作る

DX・業務改善公開日:2026年7月19日
高畑 拓海
高畑 拓海

株式会社シンシア 開発支援事業部 部長

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GMOの在宅勤務方針の補足に見る、「働き方ルール」を設計するときの勘所

GMOインターネットグループが「在宅勤務の推奨を完全廃止」とする代表の投稿に反響が集まり、同社が「事情があれば在宅勤務は可能」と補足する事態になった。在宅の是非そのものより、この一連の流れは「チームの働き方をどうルール化するか」という設計問題として読むと学びが多い。事実を整理した上で、現場でチームを見ているPMの立場から見解を書く。

出典: GMO「事情あれば在宅勤務可能」 “完全廃止”発言の反響を受けコメント (ITmedia NEWS)

要点 (事実のみ)

  • GMOインターネットグループの熊谷正寿代表が7月14日、在宅勤務の推奨を完全に廃止するなどとX上で投稿し、大きな反響を呼んだ
  • 同社公式Xアカウントは7月17日に補足コメントを出し、「グループとしての在宅勤務の推奨は終了するが、育児・介護・病気など事情がある場合は引き続き在宅勤務を選択できる」と説明した
  • 補足では「一人ひとりの状況に寄り添いながら、働き方を選択できる環境を用意する」とも述べている
  • 熊谷代表は14日の投稿で「データ上、時間当たりのPCタイピング数は確実に減少。トータルで在宅勤務はマイナス」などと在宅のデメリットを強調していた
  • 17日の投稿では14日の投稿を引用リポストする形で反響に言及し、個別の事情に合った働き方を選べるとアピールした

高畑 拓海の見解

在宅がよいか出社がよいかは、事業や職種によって答えが変わる話なので、私はそこに一般解を出すつもりはありません。むしろ現場のマネジメント目線で注目したのは、最初の「完全廃止」という強い方針が、数日で「事情があれば可能」という例外つきの説明に落ち着いた流れのほうです。これは働き方に限らず、チームのルールを作るときに繰り返し起きるパターンだと感じます。シンプルで強い方針は伝わりやすい一方、現場には必ず例外があり、例外の扱いを最初に設計しておかないと、後から補足で埋めることになります。

もう一点、実務者として気になったのは「時間当たりのPCタイピング数」という指標です。生産性の議論では、測りやすい数字がつい代理指標として使われがちですが、開発の現場でタイピング量と成果は必ずしも一致しません。設計を考えている時間や、レビューで手が止まっている時間は、タイピング数としてはゼロに近くても価値が高い。私がチームの状況を見るときも、活動量そのものではなく「何がどこまで進んだか」で判断するようにしています。指標を1つに絞ると意思決定は速くなりますが、その指標が本当に成果を表しているかは、別途確かめる必要があります。

発注側・チーム運営の視点でまとめると、この件の教訓は「方針の強さ」と「例外の設計」はセットだ、という点に尽きると思います。いきなり完璧なルールを目指すより、まず例外がどこで発生するかを洗い出し、その扱いを決めてから全体方針を打ち出すほうが、現場は混乱しません。働き方でもコーディング規約でも、運用できるルールとは、例外を織り込んだルールのことだと考えています。

(編集レンズ: 現場導入目線 / 慎重・リスク管理目線)

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株式会社Atsumell様|サービスを止めずにデータ基盤を刷新したBPマッチングプラットフォームの開発事例

**約11ヶ月・のべ4名のリレーで、機能開発を止めることなく基盤の刷新を完了しました。** 参画時期の重なりは最大2〜3名で、メンバーは1ヶ月の短期集中から5ヶ月の継続稼働までさまざまです。それでも積み上げが効いたのは、**先に入ったメンバーが構造を残していたから**でした。2025年7月に導入された Repository 層の上で、半年後に別のメンバーが移行作業を進めています。認可条件はコード上の仕様コメントとして、スナップショット方式はアーキテクチャドキュメントとして残り、いずれも「引き継いだ人が読んで分かる」形になっています。 この期間に手掛けた業務機能は、協力会社のラベル分類機能、パートナー企業管理画面、CSV による一括招待とデータ出力、案件辞退フロー、ステータス変更通知メールなど多岐にわたります。基盤刷新と機能開発は、どちらかを止めて行ったものではありません。 > 大規模な基盤刷新は「一度止めて作り直す」以外にも方法があります。呼び出し側を壊さない層を挟み、テーブル単位で少しずつ移し、移行と改善を混ぜない。この3つを守れば、リリースを止めずに土台は入れ替えられます。事業を止められないプロダクトほど、この進め方の価値が出ます。 ### この事例からの示唆 **稼働中のサービスでも基盤は入れ替えられる。** 前提は、呼び出し側の契約(戻り値の形)を保つ中間層を挟むこと、移行単位をテーブルや画面まで小さく割ること、そして移行と機能改善を同じコミットに混ぜないことの3点です。この3つが崩れると、不具合が出たときに原因が移行なのか改善なのか切り分けられなくなり、結果として一度止めるしかなくなります。 **メンバーが入れ替わる前提の体制では、成果物より「残る構造」が価値になる。** 短期参画のエンジニアを増やしても積み上がらないプロジェクトは、設計判断が個人の記憶に閉じていることが原因であるケースが多いです。この事例では、認可条件をコード上の仕様コメントとして、データ設計をアーキテクチャドキュメントとして残す運用を徹底しました。開発体制の失敗パターンについては[システム開発の失敗から立て直す方法](https://blog.xincere.jp/articles/system-development-failure-patterns)でも整理しています。 **要件が固まりきらない領域ほど、データ設計で制約を表現する。** 「協力会社が人材情報を編集したら応募内容が変わってしまう」といった問題は、運用ルールやUIの注意書きでは再発します。スキーマとトリガーで表現すれば、アプリ側の実装漏れがあっても壊れません。要件を仕様に落とす工程そのものについては[要件定義の進め方](https://blog.xincere.jp/articles/requirements-definition-process)を参照してください。 ### よくある質問 **Q. 稼働中のサービスを止めずに基盤刷新はできますか。** A. できます。この事例では約11ヶ月にわたり、機能リリースを継続しながらデータアクセス基盤の移行と主キー変更まで実施しました。ただし「一斉に切り替える」やり方では現実的に困難で、呼び出し側を壊さない中間層を用意して段階移行する設計が前提になります。 **Q. 途中でメンバーが入れ替わる体制でも品質は保てますか。** A. 設計判断がドキュメントとコードに残っていれば保てます。この事例では参画時期の重なりが最大2〜3名、1ヶ月だけの参画者もいる体制で、前任の導入した層の上に後任が半年後の移行作業を積み上げています。 **Q. どのくらいの規模・期間の支援ですか。** A. 約11ヶ月、のべ4名(同時稼働は最大2〜3名)です。プロジェクトの規模や費用感の考え方は[システム開発とは](https://blog.xincere.jp/articles/what-is-system-development)で解説しています。 ### 関連する支援領域 - [システム刷新の進め方|検討・計画から移行までの方法](https://blog.xincere.jp/articles/core-system-renewal-guide) — 稼働中システムを止めずに刷新する判断基準 - [業務システム開発の要件定義とは?進め方・手順を7ステップで解説](https://blog.xincere.jp/articles/business-system-development-requirements-definition-steps) — 要件を仕様に落とす工程 - [システム開発の失敗から立て直す方法](https://blog.xincere.jp/articles/system-development-failure-patterns) — 体制・引き継ぎで詰まったときの選択肢 同じように「稼働を止められないプロダクトの基盤を作り替えたい」という課題をお持ちでしたら、[開発のご相談](https://blog.xincere.jp/contacts)からお問い合わせください。現状のコードとデータ構造を確認したうえで、段階移行の設計からご一緒します。

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高畑 拓海
株式会社シンシア 開発支援事業部 部長

営業出身でエンジニアにキャリアチェンジ。要件定義・実装・PM・チームマネジメント・採用までを横断する。TypeScript / React / Next.js / NestJS / Hono / Ruby on Rails を主力に、現場目線・顧客折衝・チームの再現性・ジュニア育成を重視する。

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