GMOの在宅勤務方針の補足に見る、「働き方ルール」を設計するときの勘所
GMOインターネットグループが「在宅勤務の推奨を完全廃止」とする代表の投稿に反響が集まり、同社が「事情があれば在宅勤務は可能」と補足する事態になった。在宅の是非そのものより、この一連の流れは「チームの働き方をどうルール化するか」という設計問題として読むと学びが多い。事実を整理した上で、現場でチームを見ているPMの立場から見解を書く。
出典: GMO「事情あれば在宅勤務可能」 “完全廃止”発言の反響を受けコメント (ITmedia NEWS)
要点 (事実のみ)
- GMOインターネットグループの熊谷正寿代表が7月14日、在宅勤務の推奨を完全に廃止するなどとX上で投稿し、大きな反響を呼んだ
- 同社公式Xアカウントは7月17日に補足コメントを出し、「グループとしての在宅勤務の推奨は終了するが、育児・介護・病気など事情がある場合は引き続き在宅勤務を選択できる」と説明した
- 補足では「一人ひとりの状況に寄り添いながら、働き方を選択できる環境を用意する」とも述べている
- 熊谷代表は14日の投稿で「データ上、時間当たりのPCタイピング数は確実に減少。トータルで在宅勤務はマイナス」などと在宅のデメリットを強調していた
- 17日の投稿では14日の投稿を引用リポストする形で反響に言及し、個別の事情に合った働き方を選べるとアピールした
高畑 拓海の見解
在宅がよいか出社がよいかは、事業や職種によって答えが変わる話なので、私はそこに一般解を出すつもりはありません。むしろ現場のマネジメント目線で注目したのは、最初の「完全廃止」という強い方針が、数日で「事情があれば可能」という例外つきの説明に落ち着いた流れのほうです。これは働き方に限らず、チームのルールを作るときに繰り返し起きるパターンだと感じます。シンプルで強い方針は伝わりやすい一方、現場には必ず例外があり、例外の扱いを最初に設計しておかないと、後から補足で埋めることになります。
もう一点、実務者として気になったのは「時間当たりのPCタイピング数」という指標です。生産性の議論では、測りやすい数字がつい代理指標として使われがちですが、開発の現場でタイピング量と成果は必ずしも一致しません。設計を考えている時間や、レビューで手が止まっている時間は、タイピング数としてはゼロに近くても価値が高い。私がチームの状況を見るときも、活動量そのものではなく「何がどこまで進んだか」で判断するようにしています。指標を1つに絞ると意思決定は速くなりますが、その指標が本当に成果を表しているかは、別途確かめる必要があります。
発注側・チーム運営の視点でまとめると、この件の教訓は「方針の強さ」と「例外の設計」はセットだ、という点に尽きると思います。いきなり完璧なルールを目指すより、まず例外がどこで発生するかを洗い出し、その扱いを決めてから全体方針を打ち出すほうが、現場は混乱しません。働き方でもコーディング規約でも、運用できるルールとは、例外を織り込んだルールのことだと考えています。
(編集レンズ: 現場導入目線 / 慎重・リスク管理目線)