バイブコーディングの「動く≠安全」問題——AIにセキュリティ要件を伝えない限り、リスクは静かに積み上がる

AI開発・生成AI活用公開日:2026年6月30日
徐 聖博
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株式会社シンシア 代表取締役社長

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「動くコード」は「安全なコード」ではない——バイブコーディングの5つのセキュリティ急所と反脆弱な開発実践

AIで開発速度が上がった分、セキュリティリスクが静かに蓄積されている現実を、数字と事例で突きつけるセッションレポートだ。

出典: 「動くコード」は「安全なコード」ではない! バイブコーディングの5つのセキュリティ急所と反脆弱な開発者・チームになるための実践

要点 (事実のみ)

  • Developers Summit 2026でのKyohei氏のセッション。バイブコーディングを「使っている」参加者は会場の8〜9割だったが、AIコードのセキュリティレビューを「したことがある」参加者は約1割に激減した。
  • Kyohei氏はURLを変更するだけでアクセスできる公開バケット上に、1万件超の個人情報が放置されている実態を独自調査で発見した。
  • Aikido Securityが450名のCISOを対象に実施した調査では、5分の1の組織で生成AIのコードに起因する深刻なインシデントが発生し、69%の企業がすでに脆弱性を発見している。
  • 2025年7月に発生した女性向けマッチングアプリ「Tea」の大規模情報漏洩では、身分証明書7万2000件と110万件のプライベートメッセージが完全公開状態になった。原因はBaaSのストレージルールの設定ミスとされる。
  • AIは「認証付きのAPIを作って」と指示されなければ認証を実装しない。RLHFの影響で「簡潔で正しく見えるコード」を出力する傾向があり、入力値のサニタイズや所有権チェックが省略されやすい。

徐 聖博の見解

このセッションが示す構造を、私は「仕様の不作為によるリスク」と呼ぶのが適切だと思っている。AIは指示されたことに忠実で、指示されていないことは行わない——この一文は、AI開発補助ツールを使い始めた頃から私自身が実感していた問題の核心だ。

弊社でも受託開発・AIエージェント開発を日常的に行っており、AIが生成したコードをそのまま使う頻度は明らかに増えている。だからこそ、セキュリティ要件を「プロンプトで明示する」習慣を開発フローに組み込む必要性を痛感している。認証・認可・入力バリデーション・シークレット管理といった防御的処理は、AIにとって「機能要件外」として処理されやすい。これは AI の欠陥ではなく、要件定義の欠陥だ。

記事が提示する「脆弱・堅牢・反脆弱」の3段階分類は実務的に有用だ。四半期ペネトレーションテストが毎日のデプロイと噛み合わない点も、CI/CDを回している現場では耳が痛い指摘だろう。私が重要だと考えるのは、発注側の中小企業がバイブコーディングでMVPを素早く作る場面でも、この「セキュリティは要件として書かなければAIの視界に入らない」という原則は変わらない点だ。AIが生成したコードのレビューを「コスト」と見るか「品質保証の最低ライン」と見るかが、今後の開発現場での分岐点になる。

(編集レンズ: 実装・運用視点 / 発注側・中小企業・開発実務への含意)

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著者について

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徐 聖博
株式会社シンシア 代表取締役社長

株式会社シンシア(Xincere, Inc.)代表取締役。中国生まれ・3歳から日本で育ち、日本語・中国語・英語を操るトリリンガル。大学院でコンピュータサイエンス(進化型ニューラルネットワーク)を研究し、GREE・メドレー・カウンティア・Indeed Japan などで検索エンジン開発やスタートアップの立ち上げ・グロースを経験。2020年に「人の価値をテクノロジーで最大化する」という想いでシンシアを創業した。エンジニア歴15年以上、代表でありながらほぼ毎日コードを書く現役エンジニアとして、基幹システム開発からAIエージェント活用まで顧客の事業成長に並走している。創業に込めた思いは[noteの創業ストーリー](https://note.com/shengboxu/n/n8b4e482c62ad)に綴っている。

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