業務フロー図の作り方|手順・記号・テンプレートをわかりやすく解説

要件定義・業務整理公開日:2026年3月25日最終更新日:2026年6月28日
徐 聖博
徐 聖博

株式会社シンシア 代表取締役社長

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目次開く
  1. 業務フロー図とは何か?作成する目的とメリット
  2. 業務フロー図を作ることで得られる3つのメリット
  3. 業務フローチャートと業務マニュアルの違い
  4. 業務フローは誰が作る?記載する5つの基本要素
  5. 業務フローは誰が作るのか
  6. 業務フローに記載する5つの基本要素
  7. 業務フロー図で使う基本記号一覧
  8. JIS規格に基づく主要フローチャート記号
  9. スイムレーンとは?担当者・部署を分ける表現方法
  10. 業務フローと似た言葉の違い(ワークフロー・スイムレーン・作業フロー・システムフロー)
  11. 業務フローとワークフローの違い
  12. 業務フローとスイムレーンの違い
  13. 作業フローとは?業務フローとの違い
  14. 業務フローとシステムフローの違い
  15. 業務フロー図の作成手順をSTEPで解説
  16. STEP1:作成の目的と対象範囲を明確にする
  17. STEP2:関係者とタスクを洗い出す
  18. STEP3:業務の流れを時系列で整理する
  19. STEP4:記号とルールを統一してフロー図を描く
  20. STEP5:関係者でレビューし修正する
  21. わかりやすい業務フロー図を作るためのポイント
  22. 全体像を1枚に収める意識を持つ
  23. 開始・終了を明示して読み手を迷わせない
  24. 分岐条件(Yes/No)を明確に記載する
  25. わかりやすい業務フロー図にするデザインのコツ
  26. 業務フローの粒度(L1・L2・L3)と書き方のルール
  27. 業務フローの書き方の基本ルール
  28. 業務フロー図の作成ツール比較(Excel・Word・PowerPoint・専用ツール)
  29. Excelで作る場合の手順と注意点
  30. WordやPowerPointで作る場合
  31. 専用ツール・クラウドサービスを使うメリット
  32. 業務フロー図のテンプレートの選び方と活用法
  33. 【作成例】経費精算の承認フローを描いてみる
  34. 業務フロー作成でよくある失敗と対策
  35. システム開発で業務フローをどう活かすか(As-Is/To-Be)
  36. 業務フローは要件定義・AI導入の土台になる
  37. FAQ:業務フロー作成に関するよくある質問

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業務フロー図を作ることで、「誰が・いつ・何をするか」が一目でわかるようになり、引き継ぎミスや作業の抜け漏れを大幅に減らせます。マニュアルが文章だけでは伝わりにくい場面でも、フロー図があれば視覚的に業務の流れを共有できます。このガイドでは、初めてフロー図を作る方でも手を動かしながら読み進められるよう、目的の整理から記号の使い方、ツール選び、テンプレートの考え方、具体的な作成例までSTEP形式で解説します。あわせて、業務フローが要件定義やAI導入の土台になる理由も整理します。

この記事でわかること

  • 業務フロー図とは何か(マニュアル・ワークフロー・スイムレーン・作業フローとの違い)
  • 業務フローを「誰が作るのか」と、記載すべき5つの基本要素
  • フローチャートの基本記号とスイムレーンの使い方
  • 業務フロー図の作り方(5ステップ)とツール(Excel・Word・PowerPoint・専用ツール)の選び方
  • テンプレートの活用法と、経費精算フローを例にした具体的な描き方
  • わかりやすいフロー図にするデザインのコツ・書き方のルールとよくある失敗
  • 業務フローが要件定義・システム開発・AI導入の土台になる理由

業務フロー図とは何か?作成する目的とメリット

業務フロー図とは、業務の一連の流れを図形と矢印で視覚化したものです。「誰が」「どのタイミングで」「何の作業をするか」を順番に並べることで、業務の全体像を一枚の図として表現できます。主に業務改善、マニュアル整備、新人教育、システム要件定義などの場面で活用されます。

なお、業務フロー図は「業務フローチャート」「業務プロセス図」「ワークフロー図」などとも呼ばれます。呼び方は現場によって揺れますが、いずれも「業務の流れを図で表したもの」という意味で大きな違いはありません。

業務フロー図を作ることで得られる3つのメリット

① 業務の「見える化」による問題発見
フロー図を描く過程で、これまで暗黙知になっていた手順や、担当者によってやり方が異なる工程が浮き彫りになります。「この承認ステップは本当に必要か?」という問いかけが自然に生まれ、業務改善のきっかけになります。特定の人しか手順を知らない「属人化」した業務をあぶり出す効果も大きく、属人化をシステムで解消する方法を検討する第一歩としても有効です。

② 引き継ぎ・教育コストの削減
文章だけのマニュアルと比べて、フロー図は全体の流れを短時間で把握できます。新しいメンバーが「次に何をすればよいか」を自分で判断しやすくなるため、質問対応の時間も減らせます。

③ 関係者間の認識合わせ
複数の部署が関わる業務では、それぞれが「自分の担当範囲」しか把握していないケースがあります。フロー図を共有することで、全員が同じ業務イメージを持てるようになり、連携のズレを防げます。

業務フローチャートと業務マニュアルの違い

業務マニュアルは「各作業の詳細な手順・注意事項」を文章で説明するものです。一方、業務フローチャートは「業務全体の流れと判断分岐」を図で示すものです。両者は補完関係にあり、フロー図で全体像を把握したうえで、各工程の詳細はマニュアルを参照するという使い方が実務では一般的です。


業務フローは誰が作る?記載する5つの基本要素

業務フローは誰が作るのか

業務フロー図の作成者に決まったルールはありませんが、実務では「その業務を実際に担当している人」または「業務改善・システム化を主導する人」が中心になって作るのが基本です。具体的には、次のような体制がよく見られます。

  • 現場担当者が主体で作る:実態を最もよく知っているため、抜け漏れの少ない図になります。新人教育やマニュアル整備が目的の場合に向いています。
  • 業務改善・企画担当やリーダーがまとめる:複数部署にまたがる業務を横断的に整理したい場合に有効です。各担当者へのヒアリングを通じて全体を統合します。
  • システム開発の担当者・開発会社と一緒に作る:システム化を前提にする場合は、現場の知識とシステム視点の両方が必要なため、共同で作成します。

重要なのは「一人で完結させない」ことです。誰が主担当になるにせよ、実際の業務担当者へのヒアリングとレビュー(後述のSTEP2・STEP5)を必ず通すことで、実態と乖離しない図になります。

業務フローに記載する5つの基本要素

わかりやすい業務フロー図には、最低限おさえておきたい5つの要素があります。この5点が揃っていれば、読み手が迷わずに業務の流れを追えます。

  1. 担当者(誰が):各作業を「誰が」「どの部署が」行うか。スイムレーンで表すと明確になります。
  2. 作業・処理(何を):実際に行うタスクの内容。1工程=1作業に分解すると読みやすくなります。
  3. 順序・流れ(どの順で):矢印で示す作業の進行方向。上から下、または左から右に統一します。
  4. 判断・分岐(条件):「承認/差し戻し」など、条件によって流れが変わるポイント。
  5. 開始・終了(どこから・どこまで):端子で示す業務の起点と終点。対象範囲を明確にします。

この「担当者・作業・順序・分岐・開始終了」の5要素は、後述の基本記号(端子・処理・判断・矢印)とスイムレーンに対応しています。要素を意識しながら記号を選ぶと、過不足のないフロー図になります。


業務フロー図で使う基本記号一覧

JIS規格に基づく主要フローチャート記号

JIS規格(日本産業規格)では、フローチャートで使う図形の意味が定められています。チーム内で記号の意味を統一するために、以下の主要記号を押さえておきましょう。

記号名図形の形主な用途
端子(ターミネータ)角丸長方形(楕円形)開始・終了を示す
処理長方形作業・処理の内容を示す
判断(デシジョン)ひし形(菱形)条件分岐(Yes/No)を示す
書類下部が波形の長方形書類・帳票の発生・参照を示す
データ平行四辺形データの入力・出力を示す
矢印(フロー線)矢印処理の流れ・順序を示す
結合子小さな円ページをまたぐ接続点を示す

業務フロー図の基本記号。端子(開始・終了)、処理、判断(条件分岐)、矢印の4種類

すべての記号を使いこなす必要はありません。まずは「端子・処理・判断・矢印」の4種類を使いこなすことを目標にすると、シンプルで読みやすいフロー図になります。

スイムレーンとは?担当者・部署を分ける表現方法

スイムレーンとは、フロー図を横または縦に区切り、担当者・部署ごとに作業の帯(レーン)を設ける表現方法です。水泳のコース(レーン)に見立てた名称で、「誰が担当するか」を視覚的に分離できます。複数の部署が関わる業務や、承認フローが複雑な業務では特に有効です。スイムレーンを使うと、担当者間の引き渡しポイント(ハンドオフ)が明確になり、責任の所在がわかりやすくなります。


業務フローと似た言葉の違い(ワークフロー・スイムレーン・作業フロー・システムフロー)

業務フロー図を調べると「ワークフロー」「スイムレーン」「作業フロー」「システムフロー」といった似た言葉が出てきて混乱しがちです。それぞれの関係を整理しておくと、用途に合わせて正しく使い分けられます。

業務フローとワークフローの違い

業務フローは「業務全体の流れ(誰が・何を・どの順で)」を表す広い概念です。一方ワークフローは「申請・承認など、定型化された処理の流れ」を指して使われることが多く、さらに「ワークフローシステム」と言うと、その承認プロセスをシステム上で電子化・自動化する仕組みを意味します。まず業務フローで全体像を描き、その中の定型的な承認部分をワークフロー(システム)化する、という関係で捉えると整理できます。

業務フローとスイムレーンの違い

スイムレーンは「業務フローと別の図」ではなく、業務フロー図をわかりやすく描くための表現方法(レイアウト)の一つです。担当者・部署ごとに帯(レーン)を分けることで、「誰が担当するか」「どこで別の人へ引き継がれるか」を視覚的に示せます。つまり「業務フロー図 > その描き方の一手段としてのスイムレーン」という包含関係であり、対立する概念ではありません。

作業フローとは?業務フローとの違い

作業フロー(作業手順フロー)とは、特定の作業を「手を動かす単位」まで細かく分解した流れを指します。業務フローが「部署・担当をまたいだ業務全体の流れ」を俯瞰するのに対し、作業フローは「一人の担当者が行う個別作業の手順」にフォーカスします。粒度が違うだけで本質は同じため、業務フロー(全体像)の下に、必要な工程だけ作業フロー(詳細手順)をぶら下げる構成が実務では使いやすい形です。

業務フローとシステムフローの違い

業務フロー図が「人の作業の流れ」を中心に描くのに対し、システムフロー図は「システム間のデータの流れ・処理の流れ」を示すもので、ITシステムの設計・開発場面で使われます。目的と対象(人 vs システム)が異なるため、混同しないよう注意が必要です。システム化を前提にする場合は、まず人の動きを業務フローで描き、それをもとにシステムフローへ落とし込んでいきます。


業務フロー図の作成手順をSTEPで解説

STEP1:作成の目的と対象範囲を明確にする

まず「なぜフロー図を作るのか」を言語化します。目的が「新人教育用」なのか「業務改善の課題発見」なのかによって、必要な詳細度や対象範囲が変わります。次に「どこから始まり、どこで終わるか」という対象範囲(スコープ)を決めます。範囲が広すぎると図が複雑になりすぎるため、最初は一つの業務プロセスに絞るのが現実的です。

STEP2:関係者とタスクを洗い出す

対象業務に関わる人(担当者・部署・外部関係者)を全員リストアップします。次に、各関係者が「いつ・何をきっかけに・どんな作業をするか」をヒアリングや観察で収集します。この段階では、付箋やスプレッドシートにタスクを書き出すだけで十分です。漏れを防ぐために、実際に業務を担当している人に直接確認することが重要です。

STEP3:業務の流れを時系列で整理する

洗い出したタスクを時系列に並べ、「どの作業の後に何が起きるか」を整理します。このとき、条件分岐(「承認された場合は次へ、却下された場合は差し戻し」など)も書き出しておきます。付箋を並べ替えながら流れを確認する方法は、チームで作業するときに特に効果的です。全員が同じ場所で流れを確認しながら議論できるため、認識のズレを早期に発見できます。

STEP4:記号とルールを統一してフロー図を描く

STEP3で整理した流れをもとに、実際にフロー図を描きます。記号の使い方はチーム内で統一し、「この図形はこの意味」というルールを事前に共有しておきましょう。矢印の向きは原則として上から下、または左から右に統一すると読みやすくなります。スイムレーンを使う場合は、担当者・部署ごとにレーンを設定してから各処理を配置します。

STEP5:関係者でレビューし修正する

完成したフロー図を実際の業務担当者に確認してもらいます。「この流れで合っているか」「抜けている工程はないか」「条件分岐の記載は正確か」という観点でフィードバックをもらいましょう。一人で作ったフロー図には、実態と異なる部分が含まれることがあります。レビューを経て修正することで、実務で使える精度の高いフロー図になります。


わかりやすい業務フロー図を作るためのポイント

全体像を1枚に収める意識を持つ

フロー図が複数ページにわたると、読み手が全体像を把握しにくくなります。詳細を詰め込みすぎず、まず全体の流れを1枚で示すことを優先しましょう。詳細が必要な工程は、別紙のサブフローや補足マニュアルで対応する方法が実務では広く使われています。

開始・終了を明示して読み手を迷わせない

フロー図には必ず「開始」と「終了」の端子を設けます。「どこから読み始めればよいか」「どこで業務が完結するか」が明確でないと、読み手が迷います。特に複数の終了パターンがある場合(正常終了・エラー終了など)は、それぞれに端子を設けて区別しましょう。

分岐条件(Yes/No)を明確に記載する

判断記号(菱形)から伸びる矢印には、必ず「Yes」「No」または具体的な条件(「承認」「差し戻し」など)を記載します。条件が曖昧なままだと、読み手によって解釈が変わり、フロー図の意味がなくなります。条件は短く、具体的に書くことを心がけましょう。


わかりやすい業務フロー図にするデザインのコツ

「業務フローがわかりにくい」と言われる原因の多くは、内容そのものより見た目(デザイン)の整理不足にあります。前章の構成の工夫に加えて、次の見た目のコツを押さえると、ひと目で流れを追える図になります。

  • 記号の大きさ・間隔をそろえる:処理の四角はサイズを統一し、上下・左右の間隔を一定にします。整列しているだけで「読める図」の印象が大きく変わります。
  • 矢印(フロー線)を交差させない:線が何度も交差すると流れを追えなくなります。記号の配置を入れ替えるか、結合子を使って交差を減らします。
  • 色は意味を持たせて最小限に:色は「分岐」「例外」「重要工程」など意味のある箇所だけに使い、3〜4色程度に抑えます。装飾目的の多色使いは逆効果です。
  • 文言は短く・体言止めでそろえる:処理名は「経費を申請する」のように動詞で粒度をそろえ、長文を記号の中に詰め込まないようにします。
  • 1記号=1処理を守る:1つの記号に複数の作業を詰め込むと粒度が崩れます。迷ったら工程を分割します。

これらは「業務フロー わかりやすい」と検索される多くの読み手がつまずくポイントです。内容の正しさと見た目の整理は両輪だと考えると、伝わるフロー図に近づきます。


業務フローの粒度(L1・L2・L3)と書き方のルール

複数の業務を整理していくと、「どこまで細かく描くか」という粒度の問題に必ずぶつかります。実務では、業務フローを次の3階層(L1・L2・L3)で整理する考え方が便利です。

  • L1(全体像レベル):部門や会社全体の業務の大きな流れを俯瞰する。「受注→製造→出荷→請求」のような大分類で描く。
  • L2(業務単位レベル):L1の各ブロックを、一つの業務プロセスとして展開する。「受注処理」「在庫引当」など担当部署をまたぐ流れを描く。
  • L3(作業手順レベル):L2の各工程を、担当者が実際に手を動かす作業手順まで分解する。前述の「作業フロー」に相当する。

最初からL3まで描こうとすると挫折しやすいため、まずL1で全体像をつかみ、課題のある業務だけL2・L3へ掘り下げるのが現実的です。

業務フローの書き方の基本ルール

階層に関わらず、どのフロー図にも共通する書き方のルールを最初に決めておくと、誰が描いても読める図になります。

  1. 進行方向を統一する:上から下、または左から右のどちらかにそろえる。
  2. 記号の意味を統一する:端子・処理・判断・矢印の使い方をチームで合わせる(前述の基本記号に従う)。
  3. 開始と終了を必ず置く:どこから読み、どこで終わるかを端子で明示する。
  4. 分岐にラベルを付ける:判断記号から出る矢印に「Yes/No」「承認/差し戻し」を必ず書く。
  5. 粒度をそろえる:1枚の図の中で、工程の細かさのレベルを混在させない。

これらは特別なツールがなくても守れるルールです。まずこのルールを共有してから描き始めると、後からの手戻りを大きく減らせます。


業務フロー図の作成ツール比較(Excel・Word・PowerPoint・専用ツール)

Excelで作る場合の手順と注意点

Excelは多くの職場に導入されており、追加コストなしで使えるのが最大のメリットです。「挿入」→「図形」からフローチャート用の記号を選んで配置し、矢印でつなぐことでフロー図を作成できます。セルのグリッドに沿って図形を置くと整列が保ちやすくなります。ただし、図形の位置調整や矢印の接続が手動になるため、修正のたびに手間がかかりやすい点に注意が必要です。また、印刷レイアウトの調整が煩雑になることもあります。Excelは「すでに使い慣れている」「社内共有がしやすい」場合に向いています。

なお、フロー図だけでなくExcelで管理している業務そのものが増えて限界を感じているなら、Excel業務をシステム化する方法もあわせて検討するとよいでしょう。フロー図で現状を可視化することが、システム化の判断材料になります。

WordやPowerPointで作る場合

Word・PowerPointでも、Excelと同様に「挿入」→「図形」からフローチャート記号を配置してフロー図を作れます。それぞれ次のような特性があります。

  • Word:報告書やマニュアルの一部としてフロー図を文章に埋め込みたい場合に向いています。ただし図形を扱う作業領域が狭く、大きなフロー図にはやや不向きです。
  • PowerPoint:自由にレイアウトしやすく、プレゼン資料や説明用のフロー図に向いています。SmartArt機能を使うと簡単な流れ図を素早く作れます。

「ExcelとWordのどちらがよいか」「ExcelとPowerPointのどちらがよいか」は、用途で選ぶのが基本です。数値管理や表と一緒に扱うならExcel、文書に埋め込むならWord、見せ方を重視するならPowerPoint、と覚えておくと迷いません。いずれも本格的なフロー図の作成・更新には限界があるため、頻繁に修正するなら次の専用ツールが効率的です。

専用ツール・クラウドサービスを使うメリット

フローチャート専用のクラウドツールは、図形の自動整列・矢印の自動接続・リアルタイム共同編集などの機能を備えているものが多く、修正や共有が効率的です。ツールを選ぶ際は以下の観点で比較するとよいでしょう。

選定基準確認すべきポイント
コスト無料プランの有無、有料プランの月額費用
共有・共同編集リアルタイム編集、コメント機能の有無
学習コスト直感的に操作できるか、日本語対応か
出力形式PDF・PNG・PowerPointへの書き出し対応
セキュリティ社内ポリシーとの適合(クラウド保存の可否)

無料で試せるツールも多いため、まず小規模なフロー図で試してから本格導入を検討するのが現実的なアプローチです。


業務フロー図のテンプレートの選び方と活用法

ゼロから作るのが不安な場合は、テンプレートを土台にすると効率的です。フローチャート専用ツールには、承認フローや受発注業務などの定番パターンを収録した無料テンプレートが用意されていることが多く、ExcelやPowerPointでもフローチャート用の図形セットが標準で使えます。

ただし、テンプレートをそのまま使うのではなく、自社の業務に合わせて編集することが前提です。テンプレートを使う際は、次の点を意識しましょう。

  • 業務の種類が近いものを選ぶ:承認フロー・受発注・問い合わせ対応など、目的に近いテンプレートを起点にすると修正が少なく済みます。
  • 記号とレーンを自社ルールに合わせる:テンプレートの記号やスイムレーンの分け方が自社の実態と異なる場合は、STEP4で決めたルールに統一します。
  • 不要な工程は削る:テンプレートには汎用的な工程が多めに入っています。自社にない工程はそのまま残さず削除し、シンプルに保ちます。

テンプレートはあくまで「描き始めのハードルを下げる道具」です。最終的には実務担当者へのヒアリングとレビュー(STEP2・STEP5)を必ず通し、実態に合った内容に仕上げてください。


【作成例】経費精算の承認フローを描いてみる

イメージをつかむために、多くの会社にある「経費精算の承認フロー」を例に、簡単な業務フロー図を描いてみましょう。ここでは「申請者」「上長」「経理」の3者が関わるため、スイムレーンで担当を分けるのが効果的です。

流れを言葉で書き出すと、次のようになります。

  1. 【開始】(端子)申請者が経費精算を開始する
  2. 経費を申請する(処理:申請者レーン)領収書を添付し、申請内容を入力する
  3. 内容を確認する(処理:上長レーン)申請内容に不備や妥当性の問題がないか確認する
  4. 承認する?(判断:上長レーン)
    • No(差し戻し)→ 申請者に戻し、ステップ2へ
    • Yes(承認)→ 次へ進む
  5. 精算処理・支払を行う(処理:経理レーン)承認済み申請を処理し、支払を実行する
  6. 【終了】(端子)精算が完了する

この例からわかるポイントは3つです。第一に、端子で開始と終了を明示しているため、どこから読み始めてどこで終わるかが一目でわかります。第二に、判断記号(菱形)の分岐に「承認/差し戻し」という具体的な条件を書いているため、読み手によって解釈が分かれません。第三に、スイムレーンで担当者を分けているため、「差し戻しは誰から誰に戻るのか」というハンドオフが明確になります。

まずはこのくらいシンプルな粒度で1枚に収め、例外処理(金額が一定額を超える場合の二段階承認など)が必要になったら、別途サブフローに切り出すのが実務的です。


業務フロー作成でよくある失敗と対策

業務フロー図の作成でつまずきやすいポイントは、主に以下の3つです。

失敗① 詳細を詰め込みすぎて読めない図になる
「すべての例外処理を1枚に収めよう」とすると、図が複雑になりすぎて誰も読まなくなります。対策としては、メインフローと例外フローを分けて描き、参照関係で結ぶ方法が有効です。

失敗② 担当者へのヒアリングなしで作成する
資料だけを参考にフロー図を作ると、実態と異なる「絵に描いた餅」になりがちです。必ず実務担当者に確認しながら作成し、レビューを経て完成させましょう。

失敗③ 作成後に更新されず古い情報のまま放置される
業務が変わってもフロー図が更新されないと、かえって混乱を招きます。「業務変更があった際にフロー図を更新する担当者を決める」「定期的な見直しタイミングを設ける」など、運用ルールをあわせて決めておくことが重要です。


システム開発で業務フローをどう活かすか(As-Is/To-Be)

「システム開発 業務フロー」と検索される背景には、「システム化のために業務フローをどう使えばよいか」という具体的な悩みがあります。システム開発の現場では、業務フロー図を次の流れで活用します。

  1. 現状業務(As-Is)を業務フローで描く:今どのように業務が回っているかを、例外や手作業も含めてありのまま可視化します。ここでの抜け漏れが、後の仕様漏れに直結します。
  2. 課題・ムダを洗い出す:As-Is図を見ながら、二重入力・手戻り・属人化している工程など、システム化や自動化で解決したいポイントを特定します。
  3. あるべき姿(To-Be)の業務フローを描く:システム導入後にどう業務が変わるかを描きます。「どの工程をシステムが担い、どの工程は人が残すか」を線引きします。
  4. 要件定義へ落とし込む:To-Be業務フローをもとに、システムが満たすべき機能要件を整理します。フロー図があると開発会社との認識合わせがスムーズになり、見積もりの精度も上がります。

この一連の流れは、システム開発とは何かを基礎から解説した記事で全体像を、要件定義の進め方を徹底解説で具体的な進め方を確認すると理解が深まります。To-Beフローを実際の要件定義書へ落とし込む段階では、要件定義書の書き方も参考になります。

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シンシアでは、現状業務(As-Is)の棚卸し・業務フローの可視化から、To-Be設計、要件定義までを準委任型で伴走支援しています。「どこから手をつければよいか分からない」「自社だけでAs-Is図を描き切れない」段階でも構いません。

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業務フローは要件定義・AI導入の土台になる

業務フロー図は、単なる引き継ぎ資料ではありません。システム開発の要件定義や、AI導入の前提整理として大きな価値を持ちます。そもそも業務を効率化する仕組みについては業務システムとは何かを解説した記事もあわせて参考にしてください。


FAQ:業務フロー作成に関するよくある質問

Q. 業務フローは誰が作るのが適切ですか?
A. 決まったルールはありませんが、実務では「その業務を実際に担当している人」か「業務改善・システム化を主導する人」が中心になって作るのが基本です。システム化を前提にする場合は、現場担当者と開発会社が共同で作るケースもあります。いずれの場合も、一人で完結させず実務担当者へのヒアリングとレビューを通すことが、実態に合った図にするコツです。

Q. 業務フローに記載する基本要素は何ですか?
A. 「担当者(誰が)」「作業・処理(何を)」「順序・流れ(どの順で)」「判断・分岐(条件)」「開始・終了(どこからどこまで)」の5つが基本要素です。この5点が揃っていれば、読み手が迷わずに業務の流れを追えます。それぞれ、端子・処理・判断・矢印の記号とスイムレーンに対応しています。

Q. 業務フローの言い換え・別の呼び方にはどんなものがありますか?
A. 「業務フローチャート」「業務プロセス図」「ワークフロー図」「業務手順図」などが代表的な言い換えです。いずれも「業務の流れを図で表したもの」という意味で使われ、大きな違いはありません。ただし「ワークフロー(システム)」は申請・承認の電子化された仕組みを指す場合があるため、文脈に注意しましょう。

Q. 業務フローとワークフローの違いは何ですか?
A. 業務フローは「業務全体の流れ(誰が・何を・どの順で)」を表すのに対し、ワークフローは「申請・承認など、定型業務の処理の流れ」を指して使われることが多い言葉です。さらに「ワークフローシステム」は、その承認プロセスをシステム上で自動化・電子化する仕組みを指します。まず業務フローで全体像を描き、定型的な承認部分をワークフロー(システム)化する、という関係で捉えると整理しやすくなります。

Q. 作業フローと業務フローの違いは何ですか?
A. 作業フローは、特定の作業を「手を動かす単位」まで細かく分解した流れを指します。業務フローが部署・担当をまたいだ業務全体を俯瞰するのに対し、作業フローは一人の担当者が行う個別作業の手順にフォーカスします。粒度が違うだけで本質は同じため、業務フロー(全体像)の下に必要な工程だけ作業フロー(詳細手順)をぶら下げる構成が実務では使いやすい形です。

Q. 業務フローのL1・L2・L3とは何ですか?
A. 業務フローを描く粒度(詳細度)の3階層を指す考え方です。L1は会社・部門全体の大きな流れ(全体像)、L2は担当部署をまたぐ業務プロセス単位、L3は担当者が手を動かす作業手順レベルです。最初からL3まで描こうとせず、L1で全体像をつかんでから、課題のある業務だけL2・L3へ掘り下げるのが現実的です。

Q. 業務フローの書き方のルールはありますか?
A. ①進行方向を上から下(または左から右)に統一する、②記号の意味をチームで統一する、③開始と終了を端子で必ず置く、④判断記号の分岐に「Yes/No」などのラベルを付ける、⑤1枚の図の中で工程の粒度をそろえる、の5つが基本ルールです。ツールがなくても守れるため、描き始める前にチームで共有しておくと手戻りが減ります。

Q. フローチャートはExcelとWord、どちらで作るのが良いですか?
A. 用途で選ぶのが基本です。数値管理や表と一緒に扱う、社内で共有しやすさを優先するならExcelが向いています。報告書やマニュアルなど文書の中にフロー図を埋め込みたい場合はWordが便利です。ただしどちらも図形操作は手動のため、頻繁に修正するなら専用ツールの方が効率的です。

Q. フローチャートはExcelとPowerPoint、どちらで作るのが良いですか?
A. 見せ方やレイアウトの自由度を重視するならPowerPoint、表計算やデータと一緒に管理するならExcelが向いています。PowerPointはSmartArt機能で簡単な流れ図を素早く作れる点もメリットです。プレゼンや説明用ならPowerPoint、社内の業務記録用ならExcel、と使い分けるとよいでしょう。

Q. 業務フロー図のテンプレートはどこで手に入りますか?
A. フローチャート専用のクラウドツールには、承認フローや受発注などの無料テンプレートが収録されていることが多くあります。ExcelやPowerPointにもフローチャート用の図形セットが標準で備わっています。ただし、テンプレートはそのまま使わず、自社の業務に合わせて記号・レーン・工程を編集することが前提です。

Q. 業務フロー図はどのツールで作るのが一番簡単ですか?
A. 使い慣れたツールから始めるのが現実的です。Excelはすでに導入済みの環境が多く、追加コストなしで始められます。より効率的に作りたい場合は、フローチャート専用のクラウドツールを試してみると、図形の整列や共有がスムーズになります。

Q. 業務フローチャートの記号はどれを使えばよいですか?
A. まずは「端子(開始・終了)」「処理(長方形)」「判断(菱形)」「矢印」の4種類を使いこなすことを目標にしましょう。チーム内で記号の意味を統一することが、読みやすいフロー図の前提条件です。

Q. わかりやすい業務フロー図にするコツは何ですか?
A. 内容だけでなく見た目を整えることが重要です。記号の大きさ・間隔をそろえる、矢印を交差させない、色は意味のある箇所だけ最小限に使う、処理名は短く粒度をそろえる、1記号=1処理を守る、の5点を意識すると、ひと目で流れを追える図になります。

Q. 業務フロー図を作る頻度はどのくらいが適切ですか?
A. 業務内容が変わったタイミング、新しいメンバーが加わるタイミング、システム変更のタイミングなどが見直しの目安です。定期的な更新ルールを設けておくと、フロー図が形骸化しにくくなります。

Q. スイムレーンは必ず使わなければいけませんか?
A. 必須ではありません。担当者が一人の業務や、シンプルな処理の流れを示す場合はスイムレーンなしでも十分です。複数の部署・担当者が関わる業務で「誰が何をするか」を明確にしたい場合に活用すると効果的です。

Q. 業務フロー図とシステムフロー図の違いは何ですか?
A. 業務フロー図は「人の作業の流れ」を中心に描くものです。システムフロー図は「システム間のデータの流れや処理の流れ」を示すもので、ITシステムの設計・開発場面で使われます。目的と対象が異なるため、混同しないよう注意しましょう。

Q. 業務フロー図を作っても活用されない場合はどうすればよいですか?
A. 「誰のために・何の目的で作ったか」が伝わっていないケースが多いです。フロー図を共有する際に「このフロー図はこの業務の引き継ぎ用です」と目的を明示し、実際の業務場面で参照するよう促しましょう。また、フロー図が複雑すぎる場合は、対象範囲を絞ってシンプルに作り直すことも有効です。

Q. 業務フロー図の粒度(詳細度)はどう決めればよいですか?
A. 作成目的によって決めるのが基本です。新人教育用であれば各作業の詳細まで記載する必要があります。業務改善の全体像把握が目的であれば、大まかな流れを示すレベルで十分です。「読み手が次に何をすればよいか判断できる粒度」を目安にすると、過不足のないフロー図になります。


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著者について

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徐 聖博
株式会社シンシア 代表取締役社長

株式会社シンシア(Xincere, Inc.)代表取締役。中国生まれ・3歳から日本で育ち、日本語・中国語・英語を操るトリリンガル。大学院でコンピュータサイエンス(進化型ニューラルネットワーク)を研究し、GREE・メドレー・カウンティア・Indeed Japan などで検索エンジン開発やスタートアップの立ち上げ・グロースを経験。2020年に「人の価値をテクノロジーで最大化する」という想いでシンシアを創業した。エンジニア歴15年以上、代表でありながらほぼ毎日コードを書く現役エンジニアとして、基幹システム開発からAIエージェント活用まで顧客の事業成長に並走している。創業に込めた思いは[noteの創業ストーリー](https://note.com/shengboxu/n/n8b4e482c62ad)に綴っている。

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