結論: シンシアの「AI脆弱性診断」は、GitHub リポジトリを読み取り権限で連携すると、AIエージェントがソースコードから診断対象のエンドポイントを洗い出し、エンドポイントごとに攻撃シナリオを組み立てて自動で検査するサービスです。料金はリポジトリごとの基本料金33,000円に、1エンドポイント3,300円 (いずれも税込) を足した都度払いで、継続課金はありません。
この記事の対象読者: Webサービスや業務システムを開発・運用していて、リリースのたびに脆弱性を確認したいが、手動の診断を毎回頼むほどの予算や準備の工数は取れない開発責任者・事業責任者。
この記事でわかること:
- AI脆弱性診断の仕組みと、ソースコードを何に使い、何に使わないのか
- 料金の計算方法と、規模ごとの金額の目安
- 報告書に何が書かれるか (「見つからなかった」根拠も含む)
- 向いているケースと、手動の診断を選ぶべきケース
要約
Photo by Jefferson Santos on Unsplash
- AIエージェントによる自動の動的診断です。ソースコードは診断対象 (エンドポイント・パラメータ・権限) の洗い出しにだけ使い、ソースコード自体の静的解析は行いません。
- 料金は「基本料金33,000円 + エンドポイント数 × 3,300円」(税込)。診断の前に、AIが抽出したエンドポイント一覧と費用が提示され、診断する範囲を選べます。
- 報告書には、脆弱性ごとの再現手順と改修方法に加えて、エンドポイントごとに試した攻撃シナリオと検査パターンが記載されます。
- 第三者証明が必要な場合や、業務仕様の理解が前提となる複雑なビジネスロジックの検証には向きません。
AI脆弱性診断とは:AIエージェントが攻撃シナリオを組んで検査する自動診断
Photo by Chris Ried on Unsplash
AI脆弱性診断は、稼働しているWebアプリケーションに実際にリクエストを送り、脆弱性があるかを確かめる診断です。人の診断員が手で試す代わりに、AIエージェントが攻撃シナリオを組み立て、エンドポイントごとに検査を実行します。
診断の観点は、次の3つの基準に準拠しています (各基準へのリンクは末尾の参考文献に載せています)。
- OWASP Top 10 (Webアプリケーションの代表的なリスク10分類)
- OWASP ASVS (アプリケーションのセキュリティ検証の要件集)
- IPA「安全なウェブサイトの作り方」
AIによる自動診断なので、誤検知や検知漏れを含む可能性があります。この前提は報告書にも制約事項として明記されます。
ソースコードを「診断対象の洗い出し」に使う理由
このサービスの特徴は、GitHub リポジトリの読み取り権限を使って、診断の前にどこを診断すべきかをソースコードから抽出する点にあります。
外部から自動で診断するツールの多くは、画面のリンクやフォームをたどって検査対象を集めます。この方法では、画面からリンクされていない API や、管理者だけが呼び出せるエンドポイント、画面では送らないパラメータが対象から漏れやすくなります。ソースコードにはルーティングの定義があるので、そこからエンドポイント・パラメータ・必要な権限を一覧にできます。
権限の情報は、特にアクセス制御の不備を検査するときに効きます。たとえば「ログインしている利用者が、IDを変えるだけで他人の注文情報を取得できる (IDOR)」という脆弱性は、どのエンドポイントが誰のデータを返すべきかが分かっていないと、検査のシナリオ自体が組めません。
一方で、ソースコードの扱いには次の線引きがあります。
- ソースコード自体の脆弱性診断 (静的解析) は行いません。
- 連携に必要なのは読み取り権限だけで、書き込み権限は持ちません。
- 分析に使ったソースコードを AI モデルの学習に利用することはありません。
- ソースコードは診断の実行中だけ診断用のサーバー (Amazon EC2) に保存し、診断完了後にサーバーごと速やかに削除します。
診断する脆弱性のカテゴリ
診断する脆弱性の主なカテゴリは次のとおりです (一部)。
| カテゴリ | 主な検査項目 |
|---|---|
| アクセス制御の不備 | IDOR、権限昇格、リクエストの直接送信 |
| 認証・セッションの不備 | 認証の不備、セッション管理の不備、認証情報のハードコード |
| インジェクション | SQLインジェクション、OSコマンド・インジェクション、コード・インジェクション、LDAPインジェクション |
| ブラウザを狙う攻撃 | クロスサイト・スクリプティング、クロスサイト・リクエストフォージェリ、オープンリダイレクト |
| ファイル・データ処理の不備 | ファイルアップロード機能の不備、パス・トラバーサル、XML外部エンティティ参照 (XXE)、バッファオーバーフロー |
| 情報漏洩・設定ミス | 情報漏洩、エラーメッセージからの情報漏洩、セキュリティ堅牢化の不足、その他固有の問題 |
料金:リポジトリごとの基本料金とエンドポイント数で決まる
料金は次の式で決まります (税込)。
料金 = 基本料金 33,000円 (GitHub リポジトリごと) + 診断するエンドポイント数 × 3,300円
この式に当てはめると、規模ごとの金額は次のようになります。
| 診断の範囲 (1リポジトリの場合) | 計算 | 料金 (税込) |
|---|---|---|
| リリースで変更した5エンドポイントだけ | 33,000 + 3,300 × 5 | 49,500円 |
| 10エンドポイント | 33,000 + 3,300 × 10 | 66,000円 |
| 30エンドポイント | 33,000 + 3,300 × 30 | 132,000円 |
| 100エンドポイント | 33,000 + 3,300 × 100 | 363,000円 |
料金の条件は次のとおりです。
- 最低料金・契約期間・継続課金はありません。診断を実施するたびの単発の契約です。
- 診断の前に、AIが抽出したエンドポイント一覧と費用が提示されます。全部ではなく、気になる機能やリリースで変更した部分だけを選んで依頼できます。
- 支払いは請求書払いです。
AI脆弱性診断の報告書サンプルを請求できます 自社のシステムで何が分かるのかは、報告書の実物を見るのが早いです。法人のお客様には、サンプルの診断結果をお送りしています。 AI脆弱性診断のサンプル報告書を請求する
報告書に書かれること:「見つからなかった」根拠まで開示する
報告書は、診断完了から数営業日で届きます。記載される内容は次のとおりです。
- 重大度 (Critical / High / Medium / Low / Info) ごとの検出件数のまとめ
- 脆弱性ごとの概要・重大度・再現手順・改修方法
- エンドポイントごとに試した攻撃シナリオと検査パターン
- 制約事項 (自動診断であること、診断時点の結果であることなど)
再現手順が付いているので、開発チームが自分で再現して、誤検知かどうかを確かめられます。重大度をもとに、どれから直すかも決められます。
もう一つの特徴は、検出がなかった箇所についても、何を試した結果なのかが分かる点です。サンプル報告書 (架空のシステムを対象にしたもので、実際の診断結果ではありません) では、エンドポイントごとに次のような形で記載されています。
| エンドポイント | 結果 | 試した検査 | 試行回数 |
|---|---|---|---|
| POST /api/login | 検出なし | SQLインジェクション、認証回避、ユーザー列挙、総当たり耐性 | 142 |
| GET /api/orders/{id} | 検出あり | IDOR、権限昇格、パス・トラバーサル | 96 |
| POST /api/password/reset | 検出なし | トークン推測、ユーザー列挙、Hostヘッダー改ざん | 77 |
「脆弱性は見つかりませんでした」という一文だけの報告では、何も検査していないのか、検査して問題がなかったのかを読み手が区別できません。検査した内容が書かれていれば、手薄な箇所に手動の診断を追加するといった次の判断ができます。
向いているケース・向いていないケース
向いているケース
- リリースのたびに、変更した箇所だけ素早く診断したい
- 網羅的に診断したいが、費用は抑えたい
- 診断で何を試したのかまで確認したい
- 診断の準備に工数をかけたくない
向いていないケース
- 監査や取引先への提出のために、第三者証明書が必要
- 業務仕様の理解が前提となる、複雑なビジネスロジックがある
- 診断精度の保証が必要
- 報告会や改修のアドバイスまで依頼したい
向いていないケースに当てはまる場合は、診断員によるレビューを含む手動の診断を選んでください。まずAI脆弱性診断で全体のリスクを把握し、必要な範囲だけ手動の診断を追加するという使い分けもできます。
無料脆弱性診断・詳細ペネトレーションテストとの使い分け
シンシアには、AI脆弱性診断のほかに2つの診断メニューがあります。違いは次のとおりです。
| 項目 | 無料脆弱性診断 | AI脆弱性診断 | 詳細ペネトレーションテスト |
|---|---|---|---|
| 料金 | 初回1回のみ無料 (2回目以降は個別見積) | 基本料金33,000円 + 1エンドポイント3,300円 (税込) | 個別見積 |
| ソースコード | 不要 | GitHub 連携 (読み取り権限) が必要 | — |
| 検査方法 | OSS の診断ツールによる外部からの自動検査 + 技術担当者のレビュー | AIエージェントによる自動診断 | 必要に応じて手動で検証 |
| 得意なこと | 設定不備や既知の問題をまず確認する | 画面に出ない API も含めて、エンドポイント単位で検査する | 権限の境界や業務ロジックの検証 |
使い分けの目安は次のとおりです。
- まず外から見て問題がないかを確かめたい → 無料脆弱性診断
- API や権限まわりをエンドポイント単位で、リリースごとに確かめたい → AI脆弱性診断
- 業務ロジックまで含めて検証したい、第三者への説明が必要 → 詳細ペネトレーションテスト
脆弱性診断とペネトレーションテストの違いそのものは、ペネトレーションテストと脆弱性診断の違いを解説した記事で整理しています。
申し込みから報告書までの流れ
- お問い合わせ: フォームから連絡すると、サンプルの診断結果と進め方の案内が届きます。
- リポジトリの連携: 診断したいシステムの GitHub リポジトリに、読み取り権限だけのアプリを導入します。
- 診断対象と費用の提示: AIがソースコードからエンドポイント・パラメータ・権限を抽出し、一覧と費用が提示されます。ここで診断する範囲を選びます。
- 契約: 範囲と金額を確定して契約します。
- AIエージェントによる診断: AIエージェントが攻撃シナリオを組み立て、エンドポイントごとに検査します。この間、依頼側の作業はありません。
- 報告書のお届け: 診断完了から数営業日で報告書が届きます。
現時点では GitHub との連携が必要です。
よくある誤解
「AIで診断する = ソースコードをAIに読ませて静的解析する」ではありません。 ソースコードは診断対象の洗い出しにだけ使い、検査そのものは稼働している環境へのリクエストで行います。
「検出なし = 安全」ではありません。 自動診断には誤検知・検知漏れの可能性があり、結果は診断した時点の環境に対するものです。だからこそ、報告書では何を試したかを開示しています。
「自動診断なら手動の診断は要らない」わけではありません。 業務仕様の理解が必要なビジネスロジック上の脆弱性は、一部しか検出できない場合があります。第三者証明も原則として受けていません。
開発のスピードが上がるほど、診断はリリースの単位に近づける
ここからは、サービスを提供している私 (シンシア代表・徐) の考えです。
AIでコードを書く速度が上がると、リリースの回数も増えます。一方で、データ保護、権限設計、脆弱性の管理といったセキュリティの責任は、AIがコードを書いたからといって自動的に満たされるわけではありません。年に1回まとめて診断する運用のままだと、その間に出したリリースは誰も検査していない状態になります。
私は、診断を「年に1回の大きなイベント」から「リリースのたびに、変えた部分だけ確かめる作業」に近づけるべきだと考えています。AI脆弱性診断はエンドポイント単位の料金なので、変更した部分だけを小さく依頼できます。AIが生成したコードに潜みやすい問題は、バイブコーディングのセキュリティリスクを扱った記事でも書いています。
FAQ:AI脆弱性診断についてよくある質問
Q. AI脆弱性診断の料金はいくらですか? A. GitHub リポジトリごとの基本料金33,000円に、診断するエンドポイント数 × 3,300円を加えた金額です (いずれも税込)。1リポジトリ・10エンドポイントの場合は66,000円です。
Q. 診断にはどのくらいの日数がかかりますか? A. 報告書は診断完了から数営業日でお届けします。その前に、リポジトリの連携、エンドポイント一覧と費用の提示、契約の手続きがあります。
Q. サンプルの診断結果は見られますか? A. はい。お問い合わせいただいた法人のお客様に、報告書のサンプルをお送りしています。
Q. 手動の脆弱性診断との違いは何ですか? A. AI脆弱性診断はAIエージェントによる自動診断で、低価格・単発で利用できます。手動の診断は診断員によるレビューを含み、第三者証明にも対応します。
Q. 第三者証明として使えますか? A. 原則としてお受けしていません。
Q. ソースコード自体の脆弱性診断も行いますか? A. いいえ。ソースコードは診断対象 (エンドポイント・パラメータ・権限) の洗い出しにだけ使います。
Q. どのセキュリティ基準に準拠していますか? A. OWASP Top 10、OWASP ASVS、IPA「安全なウェブサイトの作り方」に準拠した観点で診断します。
Q. GitHub を使っていなくても依頼できますか? A. 現時点では GitHub との連携が必要です。
Q. 見つかった脆弱性の修正も依頼できますか? A. 可能です。シンシアの開発支援チームが修正やシステムの改善を支援します。修正作業は別途お見積りです。
まとめ
- AI脆弱性診断は、ソースコードから洗い出したエンドポイントに対して、AIエージェントが攻撃シナリオを組んで検査する自動診断です。
- 料金は「基本料金33,000円 + エンドポイント数 × 3,300円」(税込) の都度払いで、リリースで変更した部分だけを依頼できます。
- 報告書には再現手順・改修方法に加えて、試した検査パターンが記載されるので、「見つからなかった」ことの根拠も確認できます。
- 第三者証明や複雑なビジネスロジックの検証が必要なら、手動の診断と組み合わせてください。
サービスの詳細はAI脆弱性診断のサービスページで確認できます。
次に読むべき記事
- ペネトレーションテストとは?脆弱性診断との違いと、本番相当環境を無料で診断するシンシアの取り組み
- バイブコーディングの「動く≠安全」問題——AIにセキュリティ要件を伝えない限り、リスクは静かに積み上がる
- ゼロデイの攻撃成立は9〜20時間、KEV登録は5日|中小企業が今すぐ捨てるべきパッチ運用の前提
- AWSが発表した「AWS Continuum」——コードだけでなくインフラとビジネスコンテキストまで読む脆弱性推論の意味
- ConnectWise侵害に学ぶサプライチェーン攻撃対策——委託先に渡したアプリ権限は「連携を止めても残る」
参考文献